「理学療法士として、このまま今の職場で働き続けていいのだろうか」
年収や働き方、職場の人間関係について、そんな迷いを感じたことはありませんか?
患者さんのために毎日働いていても、思うように年収は上がらない。経験を重ねるほど、書類業務や委員会、新人教育などの役割は増えていく。それでも、待遇や働きやすさが大きく変わるとは限りません。
今すぐ辞めたいほどではなくても、「この先も同じ働き方を続けられるのか」「家族との時間や自分の生活を守れるのか」と不安になる理学療法士は少なくないと思います。
私自身も、約10年間同じ病院で勤務した後、30代で転職を経験しました。
前の職場では人間関係に恵まれ、仕事そのものが嫌だったわけではありません。それでも、年収、業務量、休みやすさ、将来の働き方を考えたとき、今の環境に居続けることへ少しずつ違和感を持つようになりました。
転職を考え始めてからも、不安はありました。
- 今より悪い職場だったらどうしよう
- 新しい人間関係を一から築けるだろうか
- 30代から転職しても遅くないだろうか
- 転職したことを後悔しないだろうか

こうした迷いを抱えながら求人情報を集め、複数の職場を比較したうえで、私は転職を決断しました。
その結果、年収は約100万円上がり、働き方や生活とのバランスも改善しました。現在は現役の理学療法士として働きながら、管理者として人材育成や組織運営に関わっています。
ただし、私はすべての理学療法士に転職をすすめたいわけではありません。
今の職場で改善できる問題もあれば、環境を変えなければ解決しにくい問題もあります。大切なのは、勢いで辞めることでも、何となく我慢を続けることでもありません。
自分が何に悩み、転職によって何を変えたいのかを整理し、十分な情報を集めたうえで納得できる選択をすることです。
この記事では、理学療法士として13年以上働き、実際に転職を経験した私が、転職を考え始めてから新しい職場へ入職するまでに知っておきたい内容をまとめます。
- 理学療法士が転職を考える主な理由
- 転職するべきか迷ったときの判断基準
- 転職で失敗しやすい原因と対策
- 理学療法士の年収と年収アップの考え方
- 30代から転職するときの注意点
- 求人探しから退職、入職までの進め方
- 転職サイトや転職エージェントの選び方
転職するかどうかは、今すぐ決める必要はありません。
まずは今の働き方を振り返り、自分にはどのような選択肢があるのかを知るところから始めてみてください。

咲かない花に必要なのは、さらに我慢して同じ場所で努力し続けることではなく、自分が力を発揮できる土壌を探すことかもしれません。
1. 理学療法士の転職は珍しくない
理学療法士として働いていると、
と不安に感じることがあるかもしれません。
しかし、理学療法士の転職は決して珍しいことではありません。
もちろん、新卒で入職した病院に長く勤め続ける方もいます。
同じ職場で経験を積み、人間関係や業務にも慣れ、安定して働けることは大きなメリットです。
一方で、理学療法士が働ける場所は病院だけではありません。
急性期病院、回復期リハビリテーション病棟、慢性期病院、クリニック、訪問リハビリ、介護老人保健施設、通所リハビリ(デイケア)、行政、企業など、理学療法士が活躍できる職場は幅広くあります。
職場が変われば、求められる役割も変わります。
急性期では早期離床やリスク管理が重視され、回復期ではADL改善や在宅復帰に向けた関わりが中心になります。訪問リハビリでは、実際の生活環境に合わせた支援が求められますし、介護分野では生活期のリハビリや家族支援が重要になります。
つまり、理学療法士は同じ資格を持っていても、働く場所によって仕事内容や働き方が大きく変わる職業です。
そのため、
- もっと年収を上げたい
- 残業を減らしたい
- 子育てと両立しやすい職場で働きたい
- 急性期や訪問など新しい分野に挑戦したい
- 今の職場では将来のキャリアが見えにくい
と感じたときに、転職を選択肢として考えるのは自然なことです。
私自身も、約10年間同じ職場で働いたあとに転職を経験しました。
当時は、今の職場を辞めることに不安もありました。
慣れた環境を離れること、人間関係を一から作ること、転職して本当にうまくいくのかという不安は当然ありました。
それでも、実際に求人を調べてみると、同じ理学療法士でも職場によって年収や休日数、業務内容、働き方に大きな違いがあることが分かりました。
転職は、今の職場を否定する行動ではありません。
自分の経験や資格を活かしながら、より自分に合った環境を探すための選択肢の一つです。
転職するかどうかを、急いで結論づける必要はありません。
まずは、今の職場で感じている不満や不安を整理し、他の職場ではどのような働き方ができるのかを知ることです。
そのうえで、今の職場に残るのか、環境を変えるのかを判断すればいいのです。

理学療法士の転職は、特別なことではありません。
むしろ、自分のキャリアや働き方を見直すための大切な機会だと私は考えています。
2. 理学療法士が転職を考える主な理由
理学療法士が転職を考える理由は、人によってさまざまです。
「人間関係がつらいから辞めたい」という人もいれば、「今の職場に大きな不満はないけれど、このまま働き続ける将来が見えない」と感じている人もいます。
転職というと、どうしてもネガティブな理由を想像しがちです。
しかし実際には、年収、働き方、キャリア、ライフステージの変化など、複数の理由が少しずつ積み重なって転職を考えるケースが多いです。
私自身も、何か一つの大きな不満があって転職を決断したわけではありません。
前の職場では人間関係に恵まれていましたし、仕事そのものにやりがいもありました。
それでも、年収、業務量、将来の働き方、家族との時間を考えたときに、「この環境でずっと働き続けるのは難しいかもしれない」と感じるようになりました。
ここでは、理学療法士が転職を考える主な理由を整理していきます。
2-1. 年収が思うように上がらない
理学療法士が転職を考える理由として多いのが、年収への不満です。
理学療法士は国家資格であり、専門職として患者さんの生活や機能回復を支える重要な仕事です。
しかし、実際に働いてみると、
・毎年の昇給額が少ない
・経験年数が増えても大きく年収が変わらない
・役割や責任は増えているのに給与に反映されにくい
・家族を養うことや将来設計を考えると不安がある
と感じる方も少なくありません。
特に30代になると、結婚、子育て、住宅購入、教育費など、生活にかかるお金が増えていきます。
20代の頃はそこまで気にならなかった年収の差も、ライフステージが変わることで現実的な悩みになってきます。
もちろん、年収だけで転職先を決めるのは危険です。
しかし、今の職場でどれだけ頑張っても年収が大きく変わらない場合、職場を変えることで待遇が改善する可能性はあります。
私自身も、転職によって年収が約100万円上がりました。
これは自分の能力が急に高くなったからではなく、職場ごとの給与体系や評価制度が違っていたからです。
同じ理学療法士でも、働く場所によって待遇は大きく変わります。
だからこそ、今の年収だけを基準に「理学療法士はこんなもの」と決めつけず、他の職場の条件も知っておくと、自分の待遇を客観的に見やすくなります。
2-2. 人間関係に疲れてしまった
人間関係も、理学療法士が転職を考える大きな理由の一つです。
理学療法士の仕事は、一人で完結するものではありません。
医師、看護師、介護職、相談員、栄養士、ケアマネジャーなど、多くの職種と連携しながら患者さんを支えていきます。
そのため、職場の人間関係やチームの雰囲気は、働きやすさに大きく影響します。
例えば、
- 上司や先輩に相談しづらい
- 指導が高圧的で萎縮してしまう
- 意見を言いにくい雰囲気がある
- 多職種との連携がうまくいかない
- 特定の人間関係に気を使いすぎて疲れる
このような状態が続くと、仕事そのものが嫌いでなくても、職場へ行くことがつらくなります。
もちろん、どの職場にも多少の人間関係の悩みはあります。
転職すればすべての人間関係が解決するわけではありません。
それでも、自分の努力だけでは変えられない職場の雰囲気や組織文化があるのも事実です。

人間関係に悩んでいる場合は、「自分が弱いから」「我慢が足りないから」と考えすぎる必要はありません。
環境が変わることで、同じ理学療法士としての仕事でも、気持ちよく働けるようになることはあります。
2-3. 業務量や残業が多い
理学療法士は、患者さんへのリハビリだけをしていればよい仕事ではありません。
実際には、リハビリ記録、計画書、カンファレンス資料、委員会活動、勉強会準備、実習生対応、新人教育など、臨床以外の業務も多くあります。
経験年数が増えるほど、任される仕事も増えていきます。
特に中堅以降になると、
- 新人や後輩の指導
- 病棟運営への関わり
- 委員会や係活動
- 書類業務の確認
- 管理業務の一部
など、目に見えにくい負担が増えていきます。
その一方で、給与や休みやすさが大きく変わらなければ、「責任だけ増えている」と感じてしまうこともあります。
私も回復期病棟で働く中で、患者さんに向き合う時間以外の業務が増えていくことに、少しずつ違和感を持つようになりました。
もちろん、どの職場でも一定の業務負担はあります。
しかし、残業が常態化している、休憩が取りにくい、持ち帰りや時間外の準備が当たり前になっているような場合は、働き方を見直すきっかけになります。

長く理学療法士として働き続けるためには、やりがいだけでなく、無理なく続けられる環境も必要です。
2-4. 子育てや家庭との両立が難しい
ライフステージの変化も、転職を考える大きなきっかけになります。
独身の頃や20代の頃は、多少忙しくても仕事を優先できたかもしれません。
しかし、結婚や子育てをきっかけに、働き方への考え方は大きく変わります。
例えば、
- 保育園の送迎がある
- 子どもの体調不良で急に休むことがある
- 休日は家族との時間を大切にしたい
- 残業が多いと家庭への負担が大きい
- 妻や夫だけに育児負担を偏らせたくない
このような状況では、年収だけでなく、休みやすさや残業の少なさ、職場の理解も重要になります。
理学療法士としてのキャリアを大切にしたい一方で、家族との時間も大切にしたい。
その両方を考えたときに、今の職場では難しいと感じることもあります。
転職は、キャリアアップのためだけではありません。
家庭や生活を守るために、働く環境を変えるという選択もあります。

特に30代の理学療法士にとって、働き方と家庭のバランスは避けて通れないテーマです。
2-5. キャリアアップや新しい分野に挑戦したい
転職理由は、不満だけではありません。
「もっと成長したい」「新しい分野に挑戦したい」という前向きな理由で転職を考える理学療法士もいます。
理学療法士が活躍できる分野は幅広くあります。
- 急性期病院でリスク管理を学びたい
- 回復期病棟でADL改善や在宅復帰に関わりたい
- 訪問リハビリで生活に密着した支援をしたい
- クリニックで整形外科疾患を深く学びたい
- 介護分野で生活期リハビリに関わりたい
- 管理職や教育に挑戦したい
このように、職場が変われば得られる経験も変わります。
一つの職場で長く働くことにも価値はあります。
しかし、今の職場では経験できない分野や役割があるなら、環境を変えることでキャリアの幅が広がることもあります。
私自身も、転職によって新しい役割に挑戦する機会が増え、現在は管理者として人材育成や組織運営にも関わるようになりました。
転職は、今の職場から逃げるためだけのものではありません。
自分が目指す理学療法士像に近づくための手段にもなります。
2-6. 将来への不安が大きくなった
転職を考える理由として、意外と多いのが「漠然とした将来への不安」です。
今すぐ辞めたいわけではない。
職場に大きな不満があるわけでもない。
それでも、
- 「このまま10年後も同じ働き方をしているのだろうか」
- 「年収はどこまで上がるのだろうか」
- 「体力的にこの働き方を続けられるのだろうか」
- 「家族との時間を守れるのだろうか」
と考えることがあります。
この不安は、決してわがままではありません。
むしろ、自分の将来を真剣に考えているからこそ出てくるものです。
私も転職前は、今の職場が嫌でたまらないというより、「この先もこの働き方を続けて大丈夫なのか」という不安の方が大きかったです。
転職活動を始めたことで、他の職場の条件や働き方を知ることができました。
その結果、今の職場に残る選択肢と、転職する選択肢を比較できるようになりました。

将来に不安を感じたからといって、すぐに辞める必要はありません。
まずは情報を集め、自分にどのような選択肢があるのかを知ることです。
転職を考える理由は、一つだけとは限りません。
年収への不満があり、働き方にも悩み、将来への不安もある。このように複数の理由が重なって転職を考えることは自然です。
「辞めたい」という気持ちだけで終わらせず、転職によって何を変えたいのかまで整理してみてください。
例えば、年収を上げたいのか、残業を減らしたいのか、家庭との時間を増やしたいのか、今とは違う分野に挑戦したいのか。
転職の目的が明確になると、求人を見るときの判断基準も作りやすくなります。
実際に私が30代で転職を考えた理由や、転職後に感じた変化については、以下の記事でも詳しくまとめています。
3. 転職するべきか迷ったときの判断基準
転職を考え始めたときに一番難しいのは、
- 「本当に転職するべきなのか」
- 「もう少し今の職場で頑張った方がいいのか」
という判断です。
今の職場に大きな不満があれば、転職を決断しやすいかもしれません。
しかし実際には、「今すぐ辞めたいほどではないけれど、このままでいいのか分からない」という状態の方が多いのではないでしょうか。
私自身も、前の職場に大きな不満があったわけではありませんが、年収や働き方、家族との時間を考える中で、「このまま働き続けるべきか」と迷いました。
だからこそ、転職するべきか迷ったときは、感情だけで決めず、いくつかの判断軸を持って考えると整理しやすくなります。
3-1. 今の悩みは職場を変えないと解決できないか?
まず考えたいのは、今抱えている悩みが「今の職場で解決できる問題なのか」ということです。
例えば、
- 一時的に業務量が増えている
- 特定の業務に慣れていない
- 上司に相談すれば勤務調整できる可能性がある
- 部署異動や担当変更で改善できる可能性がある
このような場合は、すぐに転職を決める前に、今の職場で改善できる余地がないか確認してもよいと思います。
一方で、
- 昇給制度そのものに限界がある
- 慢性的に残業が多い
- 有給休暇を取りにくい雰囲気がある
- 人間関係や組織風土が長年変わっていない
- 希望する分野や役職に挑戦できる見込みがない
このような場合は、自分の努力だけで解決するのは難しいかもしれません。
特に、給与体系や人員配置、組織風土のような問題は、個人の頑張りだけでは変えにくい部分です。
その場合、転職は現実的な選択肢になります。
3-2. 3年後・5年後も今の職場で働いている姿を想像できるか
転職するべきか迷ったときは、今の感情だけでなく、3年後・5年後まで視点を広げてみてください。
今の職場で、3年後も働いている自分を想像できますか。
5年後も、同じような働き方を続けている自分を想像できますか。
もし、
- 「今とあまり変わらない年収かもしれない」
- 「責任だけ増えて、働き方はさらに大変になっていそう」
- 「家族との時間が今より減っているかもしれない」
- 「やりたい分野に挑戦できていないかもしれない」
と感じるのであれば、一度キャリアを見直すタイミングかもしれません。
もちろん、将来のことは誰にも分かりません。
しかし、今の職場で働き続けた場合の未来を想像することで、「このままでいいのか」「環境を変える必要があるのか」が見えやすくなります。

私自身も、転職を決断する前に何度も考えました。
このまま同じ職場で働き続けた場合、年収はどのくらい上がるのか。
家族との時間は守れるのか。
自分が望む働き方に近づけるのか。
その結果、今の環境で頑張り続けるよりも、新しい職場で挑戦した方が、自分にとって納得できる選択だと感じました。
3-3. 年収・働き方・人間関係のどれが一番つらいのか
転職を考えるときは、悩みを一度分けて考えることも重要です。
なんとなく「今の職場がつらい」と感じていても、実際には悩みの中心がどこにあるのか分からないことがあります。
例えば、
- 年収が低いことが一番つらいのか?
- 残業や業務量が多いことがつらいのか?
- 人間関係に疲れているのか?
- キャリアの先が見えないことが不安なのか?
- 家庭との両立が難しいことが問題なのか?

ここを整理しないまま転職すると、転職先でも同じ悩みを繰り返す可能性があります。
年収に悩んでいる人が、雰囲気だけで職場を選んでしまうと、転職後に「結局お金の不安は変わらなかった」と感じるかもしれません。
逆に、家庭との両立を重視したい人が、年収だけで残業の多い職場を選ぶと、働き方に不満を感じる可能性があります。
転職先を選ぶ前に、まずは自分にとって何が一番大切なのかを明確にしましょう。

すべての条件を完璧に満たす職場を探すのは簡単ではありません。まずは、自分にとって何を優先したいのかを整理しておきましょう。
3-4. 今の職場に残るメリットも整理する
転職を考えると、どうしても今の職場の悪い部分に目が向きやすくなります。
しかし、冷静に判断するためには、今の職場に残るメリットも整理しておく必要があります。
例えば、
- 人間関係に慣れている
- 業務の流れが分かっている
- 患者層や病棟の特徴を理解している
- 通勤しやすい
- 有給休暇を取りやすい
- 上司や同僚に相談しやすい
- 今後役職や昇給の可能性がある
このようなメリットがあるなら、転職によって失うものもあります。
転職は、今の不満を解決できる可能性がある一方で、慣れた環境を手放すことでもあります。
だからこそ、「辞めたい理由」だけでなく、「残る理由」も一度書き出してみることをおすすめします。
そのうえで、残るメリットよりも環境を変えるメリットの方が大きいと感じるなら、転職活動を進める価値はあります。
3-5. 情報収集しても気持ちが変わらないか
転職するべきか迷っている段階では、いきなり応募する必要はありません。
まずは情報収集だけでも十分です。
求人を見たり、転職サイトに登録したり、他の病院や施設の条件を調べたりすることで、今の職場を客観的に見ることができます。
情報収集をしてみると、
- 「思っていたより今の職場は悪くないかもしれない」
- 「他の職場の方が年収や休日数が良さそう」
- 「自分の経験でも応募できる求人がある」
- 「今のままでは選択肢が狭いかもしれない」
というように、見え方が変わることがあります。
転職するかどうかは、その後に決めれば大丈夫です。
情報を集めたうえで「今の職場に残ろう」と思えたなら、それも良い判断です。
反対に、情報を集めても「やはり環境を変えたい」という気持ちが変わらないのであれば、転職活動を本格的に進めるタイミングかもしれません。

私自身も、最初から転職すると決めていたわけではありません。まずは求人を見て、条件を比較し、自分の市場価値を知ることから始めました。その結果、今の職場に残るよりも、環境を変えた方が自分の望む働き方に近づけると感じ、転職を決断しました。
3-6. 心身に限界が近い場合は無理をしない
転職するか迷っている方の中には、すでに心身の負担が大きくなっている方もいるかもしれません。
このような状態が続いている場合は、「転職するべきかどうか」をじっくり考える前に、まず自分の健康を守ることを優先してください。
理学療法士は、患者さんを支える仕事です。
しかし、自分自身が限界に近い状態では、長く働き続けることは難しくなります。
上司や信頼できる人に相談する。
休職や勤務調整を検討する。
必要であれば医療機関へ相談する。
こうした選択肢もあります。
転職も選択肢の一つですが、心身の不調が強い場合は、転職活動よりもまず自分の状態を整えることを優先してください。
3-7. 判断基準は「転職したいか」ではなく「何を変えたいか」
転職するべきか迷ったときに大切なのは、
「転職したいかどうか」だけで考えないことです。

本当に考えるべきなのは、「今の働き方の何を変えたいのか」です。
年収を変えたいのか。
働く時間を変えたいのか。
人間関係を変えたいのか。
キャリアの方向性を変えたいのか。
家族との時間を増やしたいのか。
ここが明確になれば、転職するべきかどうかも判断しやすくなります。
もし今の職場で変えられるなら、無理に転職する必要はありません。
しかし、今の職場ではどうしても変えられないのであれば、転職は前向きな選択肢になります。
転職は逃げではありません。
ただし、勢いだけでするものでもありません。
自分が何に悩み、何を変えたいのかを整理したうえで、情報を集め、比較し、納得して選ぶことが大切です。

実際に転職して良かったと感じたことや、転職後に変わった点については、こちらの記事でも詳しくまとめています。
4. 理学療法士が転職で失敗する原因
理学療法士の転職は、働き方や年収を変えるきっかけになります。
一方で、転職したからといって必ず満足できるとは限りません。
このように、転職後に後悔することもあります。
前章では、「そもそも転職するべきなのか」「転職によって何を変えたいのか」を整理しました。
ここからは、実際に転職活動を進めるときに起こりやすい失敗を見ていきます。
私自身も転職活動では、一つの求人だけで決めず、複数の職場を比較しながら転職先を選びました。
転職後のミスマッチを減らすためにも、どのような選び方が失敗につながりやすいのかを知っておきましょう。
4-1. 年収だけで転職先を選んでしまう
理学療法士が転職を考えるうえで、年収はとても大きな条件です。
私自身も転職によって年収が約100万円上がったため、給与を重視して転職先を探したい気持ちはよく分かります。
ただし、年収だけを見て転職先を決めてしまうのは注意が必要です。
年収が上がっても、残業が大幅に増えたり、家族との時間が減ったり、心身の負担が大きくなったりすれば、長く働き続けることが難しくなるかもしれません。
また、求人票に記載された月給だけでは、実際の待遇を判断できないこともあります。
基本給、賞与、各種手当、残業代、年間休日、福利厚生まで含めて、待遇全体を見ていきます。
転職先を選ぶときは、
「年収はいくら上がるのか」だけではなく、
「その条件で無理なく働き続けられるのか」
という視点も持っておきましょう。
年収は重要な条件の一つですが、転職の成功を決める唯一の条件ではありません。
給与と働き方のバランスを見ながら、自分が納得して長く働ける職場を探してみてください。
4-2. 求人票だけで職場を判断してしまう
転職活動では、求人票を見ながら職場を比較することが多いと思います。
求人票には、給与、勤務時間、休日数、勤務地、仕事内容など、転職先を選ぶうえで必要な基本情報が書かれています。
ただし、求人票だけで職場の働きやすさまで判断するのは難しいです。
例えば、
・実際の残業時間
・有給休暇の取りやすさ
・リハビリスタッフの人数
・一人あたりの担当患者数や単位数
・職場の雰囲気
・上司や管理者の考え方
・教育体制の実態
・多職種との連携のしやすさ
といった部分は、求人票だけでは分かりにくいことがあります。
「残業少なめ」と書かれていても、記録や書類業務で時間外が発生しているかもしれません。
「教育体制あり」と書かれていても、実際には中途入職者へのフォローが十分ではない場合もあります。
気になる職場が見つかったら、求人票だけで決めず、職場見学や面接から実際の働き方まで確かめてみましょう。
見学では、スタッフ同士の雰囲気や忙しさ、記録をしている様子などを見ることで、求人票だけでは分からない部分が見えてくることがあります。
面接でも、一日の業務の流れや残業が発生しやすい場面、入職後のフォロー体制などを確認しておくと、転職後のギャップを減らしやすくなります。
求人票は職場を知るための入口であって、すべてではありません。
条件を確認したうえで、実際の職場を自分の目で確かめることが、転職後のミスマッチを防ぐためには重要です。
求人票や職場見学で具体的に確認したいポイントについては、
後半の「8. 求人票と職場見学で確認するポイント」で詳しく解説します。
4-3. 複数の求人を比較していない
転職活動では、最初に見つけた求人だけで判断してしまうのは避けたいところです。
- 「条件が良さそう」
- 「家から近い」
- 「今の職場を早く辞めたい」
こうした理由から、一つの求人だけを見て決めてしまうと、後から「ほかにも自分に合う職場があったかもしれない」と感じる可能性があります。
転職先を選ぶときは、できるだけ複数の求人を並べて比べてみてください。
比較することで、
・給与や賞与
・年間休日
・残業時間
・福利厚生
・教育体制
・通勤時間
・求められる役割
・職場ごとの特徴
といった違いが見えてきます。
一つの求人だけを見ていると、その条件が本当に良いのか、自分の地域や経験年数では一般的なのかを判断しにくいです。
一方で、複数の求人を見ると、「この条件は比較的良い」「年収は高いけれど休日が少ない」「給与は少し下がるけれど働きやすそう」といった違いが分かるようになります。
私自身も転職活動では複数の求人を比較しました。
その中には、給与は高くても働き方が自分には合わなそうな職場もあれば、年収だけでなく休日や業務内容まで含めて納得できる職場もありました。
比較することで初めて、「条件が良い職場」ではなく「自分に合う職場」を選びやすくなります。
転職では、求人の数をたくさん見ること自体が目的ではありません。
自分の優先順位と照らし合わせながら、複数の選択肢を比較して決めることが大切です。
4-4. 転職エージェントに任せきりにしてしまう
理学療法士の転職では、自分で求人を探せる転職サイトのほか、担当者から求人紹介や面接日程の調整、条件交渉などのサポートを受けられる転職エージェントもあります。
ただし、転職エージェントにすべて任せきりにしてしまうのは注意が必要です。
担当者から紹介された求人が、必ずしも自分にとって最適な職場とは限りません。
希望条件が曖昧なまま相談すると、自分が求めている条件とは違う求人を紹介されることもあります。
そのため、エージェントへ相談するときは、
・希望する年収
・許容できる残業時間
・通勤時間
・希望する分野や職場
・避けたい職場の特徴
・転職したい時期
などを具体的に伝えておくほど、希望と求人のズレを減らしやすくなります。
また、紹介された求人についても、そのまま応募するのではなく、自分でも求人票や職場の情報を確認しましょう。
- 「なぜこの求人を紹介されたのか」
- 「自分の希望条件と合っているのか」
- 「気になる点はないか」
を考えながら利用することで、転職エージェントをより有効に活用できます。
転職エージェントは、転職先を決めてもらうためのサービスではなく、情報収集や転職活動をサポートしてもらうための手段です。
担当者の意見を参考にしながらも、最終的に転職先を決めるのは自分自身です。
自分の優先順位を持ったうえで、転職エージェントを上手に活用することが、転職後のミスマッチを防ぐことにつながります。
転職後のミスマッチを減らすためには、年収だけで職場を選ばず、求人票だけで判断せず、複数の選択肢を比較することが大切です。
転職エージェントを利用する場合も任せきりにせず、自分でも条件を確認し、最終的には自分自身で判断しましょう。

大切なのは、「条件が良さそうな職場」ではなく、自分が納得して長く働ける職場を選ぶことです。
次章では、転職を考えるうえで大きなテーマとなる理学療法士の年収について詳しく見ていきます。
5. 理学療法士の年収と転職による年収アップ
理学療法士が転職を考える理由の中でも、年収は大きなテーマです。
「国家資格なのに、思ったより給料が上がらない」
「経験年数が増えても生活に余裕が出ない」
「このまま今の職場で働き続けて、将来的に年収は上がるのだろうか」
このように感じている理学療法士は少なくないと思います。
もちろん、理学療法士の仕事は年収だけで語れるものではありません。患者さんの生活を支え、回復を後押しするやりがいのある仕事です。
しかし、結婚、子育て、住宅ローン、教育費、老後資金などを考えると、収入は避けて通れない問題です。
私自身も、転職を考えた理由の一つに年収への不安がありました。
毎年昇給はしていても、その金額は大きくありません。仕事量や責任は増えているのに、収入が大きく変わらない状況に、「このまま頑張り続けても生活は大きく変わらないのではないか」と感じるようになりました。
ここでは、理学療法士の年収の考え方と、転職によって年収アップを目指すときのポイントを整理していきます。
5-1. 理学療法士の年収は職場によって差がある
理学療法士の年収を考えるとき、まず一つの目安になるのが全国平均です。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、令和7年(2025年)の賃金構造基本統計調査をもとにした理学療法士の全国平均年収は443.6万円、平均年齢は36.2歳となっています。
ただし、この数字はあくまで全国平均です。
理学療法士の年収は、年齢や経験年数だけでなく、勤務する地域や職場、給与体系、役割などによって変わります。
そのため、「平均より高い・低い」だけで自分の待遇を判断するのではなく、同じ地域や似た経験年数の求人と比較して考えることが重要です。
理学療法士が働く場所には、
・急性期病院
・回復期リハビリテーション病棟
・慢性期病院
・クリニック
・訪問リハビリ
・介護老人保健施設
・デイケア・通所リハビリ
・自費リハビリ
・企業
など、さまざまな選択肢があります。
そして勤務先によって、
- 基本給
- 賞与
- 資格手当や職務手当
- 昇給制度
- 役職手当
- インセンティブの有無
- これまでの経験年数の評価
などが変わります。
そのため、「理学療法士だから年収はこのくらい」と一括りに考えるのはおすすめできません。
同じような経験年数であっても、勤務先や給与体系によって待遇に差が出ることがあります。
今の職場だけで長く働いていると、現在の給与体系が「理学療法士として一般的なもの」と感じてしまうことがあります。
しかし、基本給や賞与、各種手当、昇給制度、経験年数の評価方法は職場によって異なります。
そのため、理学療法士の年収を考えるときは、「経験年数が同じなら年収も同じ」と考えるのではなく、勤務先の給与体系によって待遇が変わる可能性があることを知っておきましょう。
実際に自分の年収が他の職場と比べてどの程度なのかを確認する方法については、この章の後半で詳しく解説します。
出典:厚生労働省「職業情報提供サイト job tag 理学療法士(PT)」令和7年賃金構造基本統計調査
公式ページはこちらです。
厚生労働省job tag「理学療法士(PT)」
5-2. 昇給だけで年収を大きく上げるのは難しい
理学療法士として同じ職場で働き続けていれば、毎年少しずつ昇給していく職場もあります。
ただし、昇給額が小さい場合、年収を大きく変えるまでには時間がかかります。
例えば、毎年数千円ずつ基本給が上がったとしても、月収の増加は緩やかです。
一方で、経験年数が増えるにつれて、
- 新人や後輩の指導
- 実習生対応
- 委員会や係活動
- カンファレンスの調整
- 書類業務の確認
- 管理業務
など、求められる役割が増えていくこともあります。
仕事の責任や負担は増えているのに、収入の伸びはそれほど大きくない。
こうした状況に違和感を持つ方もいると思います。
私自身も前職では毎年昇給していましたが、
「このペースで収入が増えていくとしたら、年収を大きく変えるまでに何年かかるのだろう」
と考えるようになりました。
もちろん、今の職場で管理職を目指したり、役職手当がついたりすることで年収が上がる可能性もあります。
ただ、役職のポストや給与体系は職場によって違います。今の職場でどこまで収入が伸びそうなのか、一度整理してみてください。
もし昇給や昇進だけでは希望する年収に届きにくいのであれば、他の職場の給与条件を調べてみることも選択肢になります。
年収アップを考えるなら、「今いくらもらっているか」だけでなく、「この職場で今後どのくらい収入が伸びるのか」まで見ておきたいところです。
5-3. 転職で年収アップを目指すときに確認したいポイント
転職によって年収が上がる理由は、単純に「転職したから」「自分の能力が高く評価されたから」だけではありません。
同じ理学療法士でも、職場によって給与体系や経験の評価方法が異なるため、勤務先が変わることで年収が変わることがあります。
私自身も転職によって年収が約100万円上がりましたが、転職した瞬間に能力が大きく変わったわけではありません。
転職先の給与体系や役割、これまでの経験に対する評価が、前職とは異なっていたことが大きかったと感じています。
転職で年収アップを目指すなら、まず確認したいのが「これまでの経験が給与にどう反映されるか」です。
例えば、
- 臨床経験年数
- 急性期や回復期、訪問などの経験
- 新人教育や後輩指導の経験
- リーダーや主任などの役割
- 病棟運営や多職種連携の経験
などが、職場によっては給与や役割を決める判断材料になることがあります。
また、求人を見るときは月給だけで判断しないことも大切です。
基本給、賞与、資格手当や職務手当、役職手当、残業代などから、年間でどのくらいの収入になるのかを確認しましょう。
そのうえで、昇給制度や退職金制度などは、長く働いた場合の待遇として別に確認しておくことが大切です。
さらに、入職時の年収だけでなく、その後の収入の伸び方も見ておきたいところです。

- 「毎年どのように昇給するのか」
- 「経験や役割が給与へ反映されるのか」
- 「主任や管理職へ進んだ場合に待遇がどう変わるのか」
などを確認しておけば、目先の給与だけでなく、3年後・5年後の働き方も考えやすくなります。
年収アップを目指すなら、「一番月給が高い求人」を探すのではなく、
まで含めて比較することが大切です。
求人票で給与や休日などを具体的に確認するポイントについては、後半の「8. 求人票と職場見学で確認するポイント」で詳しく解説します。
5-4. 今すぐ転職しなくても年収相場は確認しておく
転職するか迷っている段階でも、自分の年収が他の職場と比べてどの位置にあるのかは知っておいて損はありません。
今の職場だけで長く働いていると、
- 理学療法士の年収はこのくらい
- 自分の経験年数ならこの給与が普通
- 転職してもそれほど変わらない
と思ってしまうことがあります。
しかし、実際に求人を見てみると、同じ地域や似た経験年数でも、基本給や賞与、年間休日、各種手当などに違いがあります。
そのため、まずは自分と条件の近い求人をいくつか見て、現在の待遇と比較してみましょう。
比較することで、
- 今の年収が相場と比べてどうなのか
- 転職による年収アップが現実的なのか
- どのような経験が評価されるのか
を考えやすくなります。
求人を調べたからといって、必ず転職する必要はありません。
他の職場の条件を知った結果、「今の職場は思っていたより条件が良い」と分かることもあります。
反対に、「同じ経験でも、もっと自分の希望に近い職場がある」と気づくかもしれません。
転職するかどうかを決める前に、自分の年収や待遇を客観的に知っておくことが大切です。
まずは情報を集め、そのうえで今の職場に残るのか、転職を考えるのかを判断していきましょう。
私自身も転職によって年収が約100万円上がり、職場が変わることで評価や待遇が変わることを実感しました。
大切なのは、転職すること自体ではなく、自分の経験がほかの職場ではどのような条件で評価されるのかを知り、今の職場に残る場合も含めて選択肢を持っておくことです。

理学療法士の平均年収や年代別・職場別の収入については、こちらの記事で詳しくまとめています。

また、実際に私が転職で年収アップを実現した経験については、こちらの記事でも紹介しています。
6. 30代理学療法士が転職するときの注意点
30代で転職を考えると、「今から職場を変えるのは遅いのではないか」と不安になる方もいると思います。
私自身も30代で転職を経験しましたが、30代だから転職が遅いとは感じていません。
むしろ、臨床経験だけでなく、多職種連携や後輩教育、患者さん・家族への対応など、これまで積み重ねてきた経験を転職先で活かせる年代でもあります。
一方で、30代になると年収だけでなく、結婚、子育て、住宅費、家族との時間、40代以降のキャリアなど、20代とは違った視点も必要になります。
ここでは、30代の理学療法士が転職するときに特に意識したい3つのポイントを紹介します。
6-1. 30代の転職は遅くない
30代の転職では、年齢そのものよりも「これまで何を経験し、それを転職先でどう活かせるか」が重要です。
例えば、
・急性期や回復期など、どの分野で働いてきたか
・どのような患者さんを担当してきたか
・退院支援や家族指導にどの程度関わったか
・新人教育や実習生指導を経験したか
・リーダーや主任などの役割を担ったか
といった経験は、自分の強みになります。
「理学療法士として10年働いた」という経験年数だけでなく、その中で何ができるようになったのかまで整理しておきましょう。
6-2. 年収だけでなく「長く続けられる働き方」を考える
30代では、年収アップを重視したくなるのも自然です。
私自身も転職によって年収が約100万円上がりましたが、転職先を選ぶときは給与だけで決めませんでした。
- 残業はどのくらいあるか
- 年間休日は十分か
- 通勤時間に無理はないか
- 子育てや家庭と両立できるか
- 急な休みに対応しやすいか
こうした条件も含めて比較しました。
年収が上がっても、残業が増えたり家族との時間が減ったりすれば、転職後に別の悩みが生まれる可能性があります。
30代の転職では、「今より条件が良いか」だけでなく、「3年後、5年後もこの働き方を続けられるか」まで考えておきたいところです。
6-3. これまでの経験を40代以降のキャリアにつなげる
30代の転職は、今の不満を解消するだけでなく、40代以降の働き方を考える機会でもあります。
理学療法士として経験を重ねると、
・臨床の専門性を高める
・主任や管理職を目指す
・新人教育や人材育成に関わる
・訪問リハビリや地域分野へ進む
など、さまざまな方向が見えてきます。
どの道が正解というわけではありません。
大切なのは、「この職場で経験を積むことが、自分が目指す将来につながるか」という視点を持つことです。
目先の年収や休日だけではなく、これまでの経験をどのように活かし、これから何を経験したいのかまで考えて転職先を選びましょう。

私自身も30代で転職しました。
転職前は不安もありましたが、これまでの経験を活かしながら新しい役割に挑戦でき、現在は管理者として人材育成や組織運営にも関わっています。
30代だから遅いのではなく、「これからどう働きたいか」を考えることの方が大切だと感じています。
30代の理学療法士が転職するときの考え方や、転職先を選ぶポイントについては、以下の記事でさらに詳しくまとめています。
7. 理学療法士の転職活動を進める5つのステップ
転職を考え始めても、「何から始めればいいのか分からない」という方は多いと思います。
求人を探してすぐ応募する必要はありません。
私自身も、最初から転職すると決めていたわけではなく、まずは自分が何を変えたいのかを整理し、複数の求人を比較するところから始めました。
理学療法士の転職活動は、大きく次の5つのステップで進めると整理しやすくなります。
- STEP1 転職の目的と希望条件を整理する
- STEP2 求人情報を集めて比較する
- STEP3 応募先を絞って面接準備をする
- STEP4 職場見学・面接で確認する
- STEP5 内定後に条件を確認して退職を進める
7-1. STEP1 転職の目的と希望条件を整理する
最初に考えたいのは、「どこへ転職するか」ではなく「転職によって何を変えたいのか」です。
例えば、

- 年収を上げたい
- 残業を減らしたい
- 家庭や子育てと両立したい
- 違う分野へ挑戦したい
- 通勤時間を短くしたい
など、人によって優先する条件は異なります。
すべてを満たす職場を探すのではなく、「今回の転職で何を一番変えたいのか」を決めておきましょう。
7-2. STEP2 求人情報を集めて比較する
希望条件を整理したら、複数の求人を見て比較します。
病院や施設のホームページ、ハローワーク、求人サイト、転職エージェントなど、求人を探す方法は一つではありません。
比較するときは、
・想定年収
・年間休日
・勤務時間や残業
・通勤時間
・仕事内容や対象疾患
・教育体制
・福利厚生
などを確認します。
このとき、現在の職場も比較対象に入れてみてください。
他の求人を見ることで、「今の職場にも良いところがある」と気づくこともあれば、「同じ経験でも、もっと希望に近い働き方ができる」と分かることもあります。
一つの求人だけで決めず、複数の選択肢を並べて比較することが転職後のミスマッチを減らすポイントです。
7-3. STEP3 応募先を絞って面接の準備をする
希望に近い求人が見つかったら、応募先を絞って履歴書や職務経歴書、面接の準備をします。
特に中途採用では、経験年数だけではなく、
「これまで何を経験してきたのか」
「その経験を転職先でどう活かせるのか」
まで説明できるようにしておきたいところです。
6-1で整理した臨床経験、多職種連携、退院支援、後輩教育などを振り返り、自分の強みを言葉にしておきましょう。
現在、私は理学療法士として働きながら、管理者として人材育成や組織運営にも関わっています。
採用そのものを担当しているわけではありませんが、「どのような人材が現場に合うか」と意見を求められることがあります。
その中で感じるのは、経験年数や資格だけでなく、「これまでの経験を自分の言葉で説明できるか」という点も、その人を知るうえで重要だということです。
現場で一緒に働く人を考えるとき、私が特に気になるのは次のような部分です。
- なぜ今の職場を離れたいのかを整理できているか
- これまでどのような患者さんや業務を経験してきたのか
- 自分の経験や強みを具体的に説明できるか
- 次の職場でどのような働き方や役割を希望しているのか
- 新しい環境でも周囲と協力しながら働けそうか
例えば、
「回復期で10年間勤務しました」
という経験年数だけでは、その人がどのような仕事をしてきたのかまでは分かりません。
一方で、
「回復期病棟で脳血管疾患や整形外科疾患を担当し、退院支援や家族指導、新人教育にも関わってきました」
と説明できれば、これまで経験してきた役割をイメージしやすくなります。
また、前職への不満だけで終わるのではなく、
- 「何を変えたいのか」
- 「次の職場ではどのように働きたいのか」
- 「なぜその職場を選んだのか」
まで整理されていると、転職理由にも一貫性が出てきます。
7-4. STEP4 職場見学・面接で確認する
応募先を絞ったら、可能であれば職場見学を行い、求人票だけでは分からない部分を確認します。
例えば、
・実際の業務量
・リハビリスタッフの配置
・職場の雰囲気
・中途入職者へのフォロー
・多職種との関わり方
などです。
面接も「採用してもらうためだけの場」ではありません。
自分がその職場で無理なく働き続けられるのかを確認する機会でもあります。
求人票や職場見学で確認したい内容については、次の8章で詳しく解説します。
7-5. STEP5 内定後に条件を確認して退職を進める
内定が出ても、その場ですぐに決める必要はありません。
給与、勤務時間、休日、配属先、入職日など、提示された労働条件を改めて確認し、面接で聞いていた内容との違いがないかを確認します。
条件に納得できたら内定を承諾し、現在の職場の就業規則を確認しながら退職手続きを進めます。
退職を伝える時期や引き継ぎ、有給休暇については11章で詳しく解説しています。

転職活動は「早く次の職場を決めること」が目的ではありません。
情報を集め、今の職場とも比較したうえで、自分が納得できる環境を選ぶことの方が重要です。
求人探しから応募、面接、退職までの流れをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事で具体的に解説しています。
8. 求人票と職場見学で確認するポイント
理学療法士の転職では、求人票に書かれている条件だけで職場を判断するのは避けたいところです。
給与や年間休日、勤務時間などは求人票で確認できますが、実際の業務量や職場の雰囲気、中途入職者へのフォロー体制などは、求人票だけでは分からないことがあります。
求人票で基本条件を比較したら、職場見学や面接を通して「実際にはどのような働き方になるのか」まで見ていきましょう。
ここでは、求人票・職場見学・面接の3つの場面に分けて、理学療法士が転職先を選ぶときに確認しておきたいポイントを解説します。
8-1. 求人票では給与・休日・勤務条件を総合的に確認する
求人票では、月給や年収だけでなく、休日や勤務時間など実際の生活に関わる条件までセットで見ていきます。
給与が高く見えても、年間休日が少なかったり、残業が多かったりすれば、自分が希望する働き方とは合わないかもしれません。
反対に、給与は少し低くても、休日数や勤務時間、通勤のしやすさまで含めると、自分にとって働きやすい職場になることもあります。
具体的には、次の項目をチェックしておくと比較しやすくなります。
- 基本給
- 賞与
- 資格手当・職務手当などの各種手当
- 想定年収
- 勤務時間
- 年間休日
- 休日の曜日やシフト
- 残業代の扱い
- 固定残業代の有無
- 昇給制度
- 退職金制度
- 福利厚生
特に給与を見るときは、「月給がいくらか」だけで判断しないことがポイントです。
月給には各種手当が含まれていることもありますし、固定残業代が含まれている求人もあります。
また、賞与が基本給を基準に計算される職場では、月給が高く見えても基本給が低いと、想定していたより賞与が少なくなる場合があります。
年収アップを目的にするなら、基本給・賞与・各種手当の内訳から、年間の収入をイメージしておきたいところです。
一方で、働きやすさを考えるなら休日の確認も欠かせません。
年間休日だけでなく、
- 日曜・祝日は休みなのか
- シフト制なのか
- 年末年始や夏季休暇があるのか
- 有給休暇をどのように取得しているのか
なども確認しておきたいところです。
求人票に書かれている数字だけを見るのではなく、給与・休日・勤務時間をセットで比較することで、その職場で実際にどのような生活になるのかをイメージしやすくなります。
転職先を選ぶときは、「一番給与が高い求人」ではなく、自分がSTEP1で決めた希望条件に最も合う求人かどうかを見ていきましょう。
8-2. リハビリ体制と実際の業務量を確認する
理学療法士の働きやすさは、給与や休日だけでなく、実際にどのくらいの業務を担当するのかにも大きく左右されます。
求人票には「残業少なめ」「教育体制あり」と書かれていても、担当患者数や取得単位数、記録業務の時間までは分からないことがあります。
職場見学や面接では、次のような点まで聞いてみてください。
- PT・OT・STそれぞれの在籍人数
- 病棟や部署ごとのスタッフ配置
- 一人あたりの担当患者数
- 一日の取得単位数の目安
- 記録や計画書を作成する時間
- カンファレンスや委員会の頻度
- 新人教育や実習生対応の有無
- 急な休みが出たときのフォロー体制
特に確認したいのが、リハビリ以外の業務をいつ行っているのかです。
理学療法士は患者さんへのリハビリだけでなく、記録、計画書、カンファレンス資料、家族への説明、委員会活動などを担当することがあります。
担当患者数や取得単位数だけでは、実際の忙しさは分かりません。記録や書類、カンファレンスなどを「いつ行っているのか」まで見ると、一日の働き方が見えやすくなります。
例えば、患者さんへのリハビリで勤務時間の大部分を使い、その後に記録や書類業務を行う職場であれば、求人票だけでは分からない負担があるかもしれません。
一方で、記録時間が業務の中に確保されていたり、カンファレンスや委員会が勤務時間内に行われていたりする職場であれば、同じ取得単位数でも働き方は変わります。
つまり、確認したいのは単純な「忙しい・忙しくない」ではなく、一日の中で臨床とそれ以外の業務がどのように組み合わされているかです。
面接で具体的にどのように質問すればよいのかについては、8-5で詳しく紹介します。
また、スタッフ数だけで業務負担を判断することはできません。
スタッフが多くても担当患者数や業務量が多ければ忙しい場合がありますし、人数が少なくても業務分担が整理されている職場もあります。
スタッフ数そのものより、一人あたりの担当患者数や単位数、書類業務とのバランスを見る方が、実際の負担を判断しやすくなります。
職場の種類によっても見るポイントは変わります。
回復期病棟であれば、担当患者数や取得単位数、カンファレンス・書類業務の量などを確認しておきたいところです。
訪問リハビリであれば、一日の訪問件数や移動時間、記録を行うタイミングなども働き方に影響します。
求人票の「残業少なめ」「働きやすい」といった言葉だけで判断せず、実際の一日の流れまで確認することで、転職後の働き方をより具体的にイメージできます。
8-3. 教育体制と中途入職者へのフォローを確認する
求人票に「教育体制あり」と書かれていても、その内容は職場によって異なります。
新卒向けの研修は整っていても、中途入職者に対してどのようなフォローがあるのかまでは分からないことがあります。
特に30代など経験年数を重ねてから転職する場合、
「経験者だから、すぐに一人で仕事を任されるのではないか」
と不安に感じる方もいると思います。
しかし、理学療法士としての経験があっても、職場が変われば、
- 電子カルテや記録方法
- 書類の作成ルール
- 一日の業務の流れ
- 病棟や多職種との連携方法
- カンファレンスの進め方
- リハビリ科内の役割分担
- 単位取得や担当患者の考え方
なども変わります。
中途入職後のイメージを持つために、次のような点を聞いておくと安心です。
- 入職後のオリエンテーションはあるか
- 中途入職者を担当する相談役がいるか
- 電子カルテや書類について説明する機会があるか
- 担当患者はどのように増えていくのか
- 新しい業務を相談できる体制があるか
- 院内研修や勉強会はどの程度行われているか
- 外部研修への参加支援があるか
特に確認したいのが、「中途入職者がどのような流れで仕事に慣れていくのか」です。
中途採用では、理学療法士としての経験があっても、入職直後からすべての業務を同じようにこなせるとは限りません。
担当患者をどのように増やしていくのか、分からない業務を誰に相談できるのか、新しい職場のルールや書類について説明を受ける機会があるのかなど、入職後の流れを確認しておくと安心です。
「研修制度あり」という表記だけではなく、中途入職者が仕事に慣れるまで、どのようにフォローされるのかを見てみましょう。
困ったときに相談できる相手が決まっているかも、入職後の働きやすさを左右します。
これまでの経験を活かしながら新しい職場へ適応するためにも、入職後のフォロー体制は転職先を選ぶ重要な確認ポイントの一つです。
8-4. 職場見学では雰囲気と多職種連携を見る
職場見学では設備を見るだけでなく、働いているスタッフの様子や、多職種との関わり方にも目を向けてみてください。
求人票では、給与や休日などの条件は確認できます。
しかし、
- スタッフ同士が相談しやすい雰囲気か
- 患者さんへの声かけは丁寧か
- PT・OT・STで連携している様子があるか
- 看護師や介護職など他職種とのやり取りは自然か
- スタッフが常に慌ただしそうではないか
- リハビリ室や記録スペースが整理されているか
といった部分は、実際に職場へ行かなければ分かりにくいことがあります。
特に理学療法士の仕事は、一人で完結するものではありません。
患者さんの状態や退院後の生活を考えるためには、医師、看護師、作業療法士、言語聴覚士、介護職、相談員など、さまざまな職種との連携が必要になります。
リハビリ科の中だけでなく、病棟や他職種と自然に情報交換しているかを見ると、その職場の連携の雰囲気もつかみやすくなります。
また、スタッフの表情や雰囲気も一つの参考にはなります。
ただし、短時間の見学だけで「良い職場」「悪い職場」と判断することはできません。
たまたま忙しい時間帯だった可能性もありますし、見学した範囲だけでは分からない部分もあります。
見学時の印象だけで決めず、求人票の条件や面接で聞いた内容と合わせて判断すると、職場をより立体的に見ることができます。
私自身も転職活動では、給与や休日だけでなく、
「スタッフ同士が自然に相談しているか」
「ここで自分が働く姿をイメージできるか」
といった点も見ていました。
職場見学は、雰囲気だけで転職先を決めるためのものではありません。
求人票やホームページだけでは分からない職場の実際を、自分の目で確認するための機会として活用しましょう。
8-5. 面接では求人票で分からないことを具体的に確認する
面接は、自分の経験や強みを伝えるだけでなく、転職後の働き方を具体的に知る機会でもあります。
特に求人票だけでは分かりにくい、
- 実際の残業時間
- 有給休暇の取りやすさ
- 一日の担当患者数
- 取得単位数の目安
- 記録や書類業務を行う時間帯
- 配属先
- 中途入職者へのフォロー体制
- 勉強会や委員会の頻度
などは、気になる場合に確認しておきましょう。
ただし、質問するときは聞き方を少し工夫した方が、実際の働き方を把握しやすくなります。
例えば、
「残業は多いですか?」
と聞くだけではなく、
「記録や書類業務は、どの時間帯に行うことが多いですか?」
と聞けば、業務時間内に記録できているのか、勤務後に書類業務が残りやすいのかをイメージしやすくなります。
有給休暇についても、
「有給は取れますか?」
だけではなく、
「皆さんは有給休暇をどのように取得されていますか?」
と聞くと、実際の運用を確認しやすくなります。
そのほかにも、
- 「一日の担当患者数や取得単位数の目安を教えていただけますか?」
- 「中途入職の場合、どのような流れで業務を担当していきますか?」
- 「急な休みが必要になった場合は、どのようにフォローされていますか?」
- 「勉強会や委員会はどのくらいの頻度で行われていますか?」
- 「入職後の配属先はどのように決まりますか?」
といった質問を用意しておくと、自分が気になっていることを確認しやすくなります。
面接になると、
「採用してもらいたいから、あまり細かいことは聞かない方がいいのではないか」
と遠慮してしまうこともあると思います。
しかし、転職は採用されることだけが目的ではありません。
自分自身も「ここなら無理なく働き続けられそうか」という視点で面接に臨んでみてください。
だからといって、条件面の質問ばかりをする必要はありません。
応募先について事前に調べたうえで、求人票やホームページを見ても分からなかったこと、自分が転職先を選ぶうえで重要なことを中心に確認しましょう。
特にSTEP1で決めた「絶対に譲れない条件」は、入職前に答えをはっきりさせておきたい部分です。
面接は「選んでもらう場」であると同時に、「自分も職場を確認する場」です。疑問を残したまま入職するのではなく、必要な情報を確認したうえで判断しましょう。
8-6. 求人票と説明に違いがあれば慎重に判断する
求人票では魅力的に見えた職場でも、見学や面接で説明を聞くと、記載されていた内容と少し違うことがあります。
もちろん、求人票だけですべての労働条件や仕事内容を詳しく説明することは難しいため、多少の補足や違いがあるだけで「悪い職場」と判断する必要はありません。
一方、自分が重視している条件に違いがある場合は、そのまま内定を承諾せず、内容を聞いてから判断しましょう。
例えば、次のような点は確認しておきましょう。
- 求人票と面接で給与条件の説明が違う
- 年間休日や勤務時間について説明が曖昧
- 想定していた配属先と違う可能性がある
- 残業や業務量について具体的な回答が得られない
- 中途入職者への教育体制が求人票の印象と違う
- 面接で聞いた仕事内容と実際に求められる役割が違う
- 質問するたびに説明内容が変わる
特に、給与、休日、勤務時間、配属先などは、転職後の生活に直接関わる条件です。
少しでも分からないことがあれば、
「求人票では〇〇と拝見したのですが、実際の勤務についてもう少し詳しく教えていただけますか?」
と確認しておきましょう。
転職活動を続けていると、
「せっかく内定をもらったから決めたい」
「また一から求人を探すのは大変」
という気持ちが出てくることもあります。
しかし、早く転職先を決めることよりも、自分が納得できる条件で働けるかを確認することの方が重要です。
一つ気になる点があっただけで、その職場を候補から外す必要はありません。
判断基準になるのは、STEP1で整理した「絶対に譲れない条件」です。
例えば、年収を最優先にしているなら給与条件、家庭との両立を重視しているなら勤務時間や休日など、自分にとって重要な条件ほど入職前に確認しておきましょう。
また、内定後には改めて労働条件を確認し、面接で聞いていた内容と違いがないかを確認します。
求人票、職場見学、面接、内定後の労働条件を照らし合わせてみると、説明のズレにも気づきやすくなります。疑問が残る部分は、入職を決める前に解消しておきましょう。
完璧な職場を探す必要はありません。
自分にとって大切な条件が満たされているか、納得できない点が残っていないかを確認したうえで転職先を決めましょう。
求人票だけで転職先のすべてを判断することはできません。
給与や休日といった数字に加えて、職場見学や面接から業務量、雰囲気、中途入職後の働き方まで見えてくると、転職後の生活をかなり具体的に想像できます。
転職先を選ぶときは、「条件が良さそうだから」だけで決めるのではなく、STEP1で整理した希望条件と照らし合わせながら、自分が納得して働き続けられる職場かどうかを判断しましょう。
9. 転職サイト・転職エージェントの選び方
理学療法士が転職活動を進めるとき、
「転職サイトと転職エージェントは何が違うのか」
「登録したら、必ず転職しないといけないのではないか」
「連絡が多そうで利用するのが不安」
と感じる方もいると思います。
転職サービスにはさまざまな種類があり、求人の探し方や受けられるサポートも異なります。
また、理学療法士向けの求人を多く扱っていても、自分が希望する地域や分野の求人が十分にあるとは限りません。
知名度や求人数だけではなく、自分の転職目的や希望条件に合うサービスかどうかで選ぶのがポイントです。
転職サイトや転職エージェントは、転職先を決めてもらうためのものではありません。
求人を探したり、他の職場の条件を知ったり、転職活動のサポートを受けたりするための手段の一つです。
今すぐ転職すると決めていなくても、情報収集のために活用することはできます。
ここでは、転職サイトと転職エージェントの違いを整理しながら、自分に合うサービスを見つけるための考え方を紹介します。
9-1. 転職サイトと転職エージェントの違いを理解する
転職サービスを使う前に、「転職サイト」と「転職エージェント」の違いを整理しておくと、自分に合った求人の探し方を選びやすくなります。
一般的に、転職サイトは掲載されている求人を自分で検索し、気になる求人へ応募して転職活動を進めるサービスです。
一方、転職エージェントでは担当者がつき、希望条件を伝えたうえで求人紹介や転職活動のサポートを受けながら進めます。
それぞれの特徴を整理すると、次のようになります。
| 転職サイト | 転職エージェント | |
|---|---|---|
| 求人探し | 自分で検索する | 担当者から紹介を受ける |
| 応募 | 自分で行う | 担当者を通して進める場合がある |
| 面接日程の調整 | 基本的に自分で行う | サポートを受けられる場合がある |
| 書類・面接対策 | 自分で準備する | サポートを受けられる場合がある |
| 条件確認・交渉 | 自分で行う | 担当者へ相談できる場合がある |
| 向いている人 | 自分のペースで探したい人 | サポートを受けながら進めたい人 |
※サービスによって提供される機能やサポート内容は異なります。
転職サイトは、自分の好きなタイミングで求人を検索できるため、
「まずはどんな求人があるのか見てみたい」
「自分のペースで転職活動を進めたい」
という方に向いています。
一方、転職エージェントは、
- 仕事を続けながら転職活動を進めたい
- 自分に合う求人を紹介してほしい
- 履歴書や職務経歴書について相談したい
- 面接の日程調整を任せたい
- 給与や入職時期などの条件について相談したい
といった方にとって活用しやすいサービスです。
ただし、どちらか一方だけを使わなければならないわけではありません。
自分で求人を探しながら、必要に応じて転職エージェントへ相談するという使い方もできます。
求人検索と担当者による転職支援の両方を利用できるサービスもあります。名称だけで判断せず、実際にどのような使い方ができるのかを見てみましょう。
「サイトかエージェントか」という分類よりも、自分で探したいのか、担当者のサポートを受けたいのかを基準に考える方が、自分に合うサービスを選びやすくなります。
9-2. 理学療法士向け求人と希望する地域・分野に強いサービスを選ぶ
転職サービスを選ぶとき、求人数の多さは一つの判断材料になります。
ただし、求人数が多いからといって、自分に合う求人が多いとは限りません。
見るべきなのは求人数そのものではなく、自分が希望する地域・分野・働き方の求人が含まれているかどうかです。
例えば、次のような条件を確認してみましょう。
同じ理学療法士向けの転職サービスでも、扱っている求人の地域や職場の種類には違いがあります。
例えば、病院の求人を多く扱っているサービスもあれば、訪問リハビリや介護施設、クリニックなどの求人を探しやすいサービスもあります。
「理学療法士の求人が何件あるか」より、「自分が実際に検討できる求人を探せるか」という視点で比べてみてください。
また、転職エージェントを利用する場合は、求人の数だけでなく、理学療法士の仕事内容や職場ごとの特徴をどの程度理解しているかも確認しておきたいポイントです。
理学療法士の転職では、給与や休日だけでなく、
- 一日の担当患者数や単位数
- リハビリスタッフの配置
- 対象となる疾患や病期
- 中途入職者への教育体制
- 多職種との連携
- 記録や書類業務の負担
など、職種特有の確認事項があります。
こうした希望を具体的に伝えたときに、条件に合う求人を提案してもらえるかどうかも、サービスを選ぶ判断材料になります。
求人数の多さより、自分が「ここなら検討したい」と思える求人に出会えるかどうかの方が重要です。
STEP1で整理した希望条件と照らし合わせながら、自分の転職目的に合うサービスかを見ていきましょう。
9-3. 担当者の対応や相性を確認する
転職エージェントを利用する場合は、サービス名だけでなく、実際に担当してくれる人との相性も重要です。
同じ転職エージェントでも、担当者によって提案の仕方や連絡の頻度、求人への理解度などが異なることがあります。
最初に希望条件を具体的に伝え、その内容を踏まえてどのような求人を提案してくれるかを見てみましょう。
そのうえで、担当者がこちらの希望をきちんと理解しているかを見ていきます。
例えば、
「年収を上げたい」と伝えているのに、現在とほとんど変わらない求人ばかり紹介される。
「残業を減らしたい」と伝えているのに、業務量の多い求人を強くすすめられる。
「まだ情報収集の段階」と伝えているのに、応募や面接を急かされる。
このような場合は、自分の希望が十分に伝わっていない可能性があります。
逆に、
- 希望条件を丁寧に確認してくれる
- 条件に合わない求人を無理にすすめない
- 求人のメリットだけでなく注意点も説明してくれる
- 分からないことを確認して回答してくれる
- 転職時期を急かさず、自分のペースに合わせてくれる
といった担当者であれば、相談しながら転職活動を進めやすくなります。
また、紹介された求人についても、そのまま応募する必要はありません。
紹介を受けたら、「なぜ自分に合うと考えた求人なのか」を聞きつつ、自分でも求人票や職場情報を確認して判断します。
担当者の提案は、転職先を決めるための参考情報の一つです。
最終的に応募するか、内定を承諾するかを決めるのは自分自身です。
もし担当者との相性が合わないと感じた場合は、無理にそのまま利用し続ける必要はありません。
転職エージェントは「担当者に任せるためのサービス」ではなく、自分の転職活動をサポートしてもらうためのサービスです。
こちらの希望を理解し、一緒に選択肢を整理してくれる担当者かどうかも見極めたいところです。
9-4. 連絡方法とサポート内容を確認する
転職エージェントを利用すると、担当者から電話やメールなどで連絡を受けながら転職活動を進めることになります。
特に在職中の場合、仕事中に何度も電話がかかってきたり、自分が希望する以上の頻度で連絡が来たりすると、転職活動そのものが負担になることがあります。
利用を始めるときに、希望する連絡方法や連絡可能な時間帯を伝えておくと負担を減らせます。
例えば、
サービスによって利用できる連絡方法は異なるため、自分が無理なくやり取りできる方法があるかも確認しておきたいポイントです。
求人紹介だけでなく、自分が必要とするサポートをどこまで受けられるかも、あわせて見ておきましょう。
特に仕事を続けながら転職活動をする場合は、求人を探し、応募先と連絡を取り、面接日程まで自分ですべて調整するのは負担になることがあります。
そのようなときに、自分が必要としている部分をサポートしてもらえるかという視点でサービスを選ぶとよいでしょう。
一方で、サポート内容が充実していても、自分が必要としていなければ無理に利用する必要はありません。
「求人情報だけ確認したい」
「応募先は自分で選びたい」
「面接日程の調整だけサポートしてほしい」
など、転職サービスに求めるものは人によって異なります。
連絡のしやすさとサポート内容を比べながら、自分のペースを保てるサービスを選んでみてください。
9-5. 2〜3社を比較して自分に合うサービスを選ぶ
転職サイトや転職エージェントは、一つのサービスだけを見て決める必要はありません。
サービスによって、扱っている求人や得意な地域、担当者の対応、サポート内容などが異なるため、最初は2〜3社程度を比較してみると違いが分かりやすくなります。
複数のサービスを使ってみると、
「こちらの方が希望する地域の求人が多い」
「この担当者の方が自分の希望を理解してくれる」
「求人は少ないけれど、紹介される内容が自分には合っている」
といった違いが見えてくることがあります。
また、転職サービスを選ぶ前に、口コミや評判を確認する方もいると思います。
口コミは参考になりますが、それだけでサービスの良し悪しを決めるのはおすすめしません。
同じサービスでも、利用する地域や希望条件、担当者との相性によって感じ方は変わります。
「丁寧に対応してもらえた」という人もいれば、「希望と違う求人を紹介された」と感じる人もいます。
口コミは一つの参考材料として、最終的には実際の求人内容や担当者とのやり取りから、自分に合うかを判断するのが現実的です。
ただし、たくさんのサービスへ一度に登録すると、求人や担当者からの連絡を管理しにくくなることもあります。
まずは2〜3社程度から始め、
「求人の内容」「担当者との相性」「使いやすさ」
を比較したうえで、自分が使いやすいサービスに絞っていくとよいでしょう。
転職サービスには、それぞれ特徴があります。
知名度や口コミよりも、自分の希望する求人を探しやすく、無理なく使い続けられるかどうかを基準にしてみてください。
9-6. 今すぐ転職しなくても情報収集に活用する
転職サイトや転職エージェントは、今すぐ転職すると決めている人だけが利用するものではありません。
「今の職場に大きな不満はないけれど、他の職場の条件も知っておきたい」
「自分の経験年数なら、どのような求人に応募できるのか知りたい」
という段階でも、求人情報を確認することで今後の選択肢を考えやすくなります。
例えば、求人を見ることで、
- 同じ地域ではどのくらいの給与で募集されているのか
- 年間休日や勤務時間は今の職場とどのくらい違うのか
- 自分の経験を活かせる求人があるのか
- 急性期・回復期・訪問など、他の分野ではどのような働き方ができるのか
- 今より希望条件に近い職場があるのか
といった情報を知ることができます。
実際に他の求人と比較してみると、
「思っていたより今の職場は条件が良い」
と気づくこともあれば、
「同じ経験年数でも、もっと希望に近い条件の求人がある」
と分かることもあります。
どちらの結果であっても、「他の職場を知ったうえで今の職場を選ぶ」のと、「他を知らずに何となく残る」のとでは納得感が違います。
また、転職エージェントを利用する場合も、最初に
「まだ転職するかは決めておらず、まずは情報収集をしたい」
と伝えておくと、自分の状況を共有しやすくなります。
求人を紹介されたからといって、そのすべてに応募する必要はありません。
気になる求人だけ詳しく見て、希望と合わなければ見送る。そのくらいの距離感で情報収集しても問題ありません。
私自身も、最初から「必ず転職する」と決めていたわけではありません。
他の職場の求人や条件を調べて現在の職場と比較したことで、自分が今後どのような働き方をしたいのかを整理しやすくなりました。
転職サービスは「転職を決める場所」というより、自分にどんな選択肢があるのかを知るためにも使えます。
次の章では、理学療法士の転職目的に合わせて、具体的に検討したい転職サービスを紹介します。
10. 理学療法士の転職で検討したいサービス
理学療法士向けの転職サービスはいくつもありますが、知名度だけで決めるのではなく、自分の転職目的に合うかどうかで考えてみてください。
例えば、
- 理学療法士として病院や施設への転職を考えている
- 求人条件だけでなく、働きやすさや職場の情報も重視したい
など、目指す働き方によって選ぶサービスは変わります。
ここでは、理学療法士の転職先やキャリアの方向性に合わせて、特徴の異なる2つの転職サービスを紹介します。
それぞれ「どのような人に向いているのか」まで整理しているので、自分の希望条件や転職目的と照らし合わせながら確認してみてください。
10-1. 初めてのPT転職・求人比較向け|PTOTSTワーカー
PTOTST WORKERは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の転職に特化した転職支援サービスです。
「初めての転職で、何から始めればいいのか分からない」
「仕事を続けながら求人を探すのが大変」
「病院だけでなく、クリニックや介護施設なども比較したい」
という方は、候補の一つとして検討しやすいサービスです。
PT・OT・STそれぞれの職種に詳しい担当者へ希望条件を相談しながら、求人を探すことができます。
求人紹介だけでなく、サービス内容に応じて、
- 希望条件に合う求人探し
- 面接日程の調整
- 転職活動についての相談
- 入職後のフォロー
などのサポートを受けられます。
特に転職活動では、給与や年間休日だけでなく、
「実際の業務量はどのくらいなのか」
「職場の雰囲気はどうなのか」
「中途入職者へのフォローはあるのか」
といった、求人票だけでは分かりにくい部分も気になります。
PTOTST WORKERでは、求人票だけでは確認しにくい職場の雰囲気や人間関係などについて相談できる場合があるため、条件だけで転職先を決めたくない方にも選択肢になります。
また、病院・クリニックなどの医療機関だけでなく、介護施設やリハビリ関連施設などの求人も扱っているため、今の職場と違う分野を含めて比較したい場合にも活用できます。
PTOTST WORKERがおすすめの人
- 初めての転職で進め方に不安がある人
- PT・OT・STの転職事情に詳しい担当者へ相談したい人
- 病院・クリニック・介護施設など複数の職場を比較したい人
- 公開求人だけでなく、非公開求人なども含めて探したい人
- 求人探しや面接日程の調整をサポートしてほしい人
- 条件だけでなく、職場環境についても確認して転職先を選びたい人
理学療法士として働き続けながら転職活動を進めたい方や、初めての転職で一人ですべて進めることに不安がある方は、まず希望する地域や条件でどのような求人があるのか相談してみるとよいでしょう。
10-2. 働きやすさや職場情報も重視したい人向け|レバウェルリハビリ
レバウェルリハビリは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、リハビリ職の転職先を探すときに検討できる転職支援サービスです。
転職先を選ぶとき、
「給与や休日だけでなく、実際の働きやすさも確認したい」
「今の職場では人間関係に悩んでいるので、次は職場の雰囲気も重視したい」
「子育てと両立しやすい職場を探したい」
という方もいると思います。
求人票には、給与や年間休日、勤務時間などの条件は記載されています。
しかし、実際の職場では、
- 残業はどのくらいあるのか
- スタッフ同士は相談しやすい雰囲気か
- 中途入職者へのフォローはあるのか
- 急な休みに対応しやすい環境か
- 家庭や子育てと両立しやすいか
など、求人票だけでは判断しにくい部分もあります。
特に、今の職場を辞めたい理由が「人間関係」「残業」「働きにくさ」なのであれば、次の職場でも給与条件だけを見て決めてしまうと、同じような悩みを抱える可能性があります。
そのため、求人を探すときは、
「条件が良いか」だけではなく、「自分が無理なく働き続けられる職場か」
という視点を持つことも大切です。
レバウェルリハビリのような転職支援サービスを利用する場合は、自分が気になっていることを担当者へ具体的に伝えながら求人を比較してみましょう。
例えば、
「残業をできるだけ減らしたい」
「子どもの送迎があるので勤務時間を重視したい」
「人間関係や職場の雰囲気も確認してから応募したい」
など、求人選びで重視する条件を明確に伝えることがポイントです。
レバウェルリハビリがおすすめの人
- 職場の雰囲気や働きやすさも重視したい人
- 人間関係や残業時間が気になっている人
- 求人票の条件だけで転職先を決めるのが不安な人
- 子育てや家庭と両立できる職場を探したい人
- 転職後のミスマッチをできるだけ減らしたい人
年収アップだけではなく、「次は長く働き続けられる職場を選びたい」という方は、希望する地域や働き方に合う求人があるか確認してみるとよいでしょう。
10-3. PTOTSTワーカーとレバウェルリハビリを選ぶときの目安
ここまで、理学療法士の転職先を探すときに検討したい「PTOTSTワーカー」と「レバウェルリハビリ」を紹介しました。
どちらもリハビリ職の転職を支援するサービスで、求人紹介や転職活動のサポートなど共通する部分も多くあります。
そのため、「どちらが絶対におすすめ」と決めるよりも、自分が転職活動で何を重視したいのかを考えながら選ぶのが現実的です。
初めての転職で、求人探しから面接・条件調整まで幅広く相談しながら進めたい
→ PTOTSTワーカーを候補に
給与や休日だけでなく、自分の希望する働き方や条件も含めて求人を提案してほしい
→ レバウェルリハビリを候補に
どちらが自分に合うか分からない
→ 2社で紹介される求人や担当者との相性を比較する
私自身も転職活動では、一つの求人だけを見て転職先を決めたわけではありません。
給与、休日、仕事内容、通勤時間などを比較することで、初めて「今の職場より自分に合っているのか」を判断しやすくなりました。

転職サービスを使うからといって、転職すると決める必要はありません。
まずは他の職場の条件を知り、今の職場と比較するために使うという考え方でも十分だと思います。
まずは希望する地域や条件でどのような求人があるのかを確認し、紹介される求人や担当者との相性を比較してみてください。
自分に合わなければ利用を続ける必要はありませんし、求人を比較した結果、今の職場に残るという判断になっても問題ありません。
大切なのは、サービスそのものを選ぶことではなく、情報を集めたうえで自分が納得できる職場を選ぶことです。
11. 理学療法士が円満退職するための進め方
転職先が決まったら、現在の職場の退職手続きを進めます。
病院や施設で働く理学療法士の場合、
- 上司へいつ伝えるのか
- 担当患者さんをどう引き継ぐのか
- 残っている有給休暇をどうするのか
- 人手不足でも辞めてよいのか
など、不安に感じることもあると思います。
私自身も転職するときは、長く勤めた職場を離れることへの申し訳なさや、担当している業務をどう引き継ぐかを考えました。
ただ、円満退職を目指すことと、自分一人ですべての責任を背負うことは別です。
必要な準備をしたうえで、できるだけ余裕を持って退職までのスケジュールを組んでいきましょう。
11-1. 退職希望日から逆算して準備する
まず確認したいのは、勤務先の就業規則です。
退職を申し出る時期や必要な手続きは職場によって異なるため、転職先の入職日だけを先に決めるのではなく、現在の職場との調整期間も考えておきましょう。
スケジュールを考えるときは、
退職希望日
↓
有給休暇を取得する場合の最終出勤日
↓
担当患者さんや業務の引き継ぎ期間
↓
上司へ退職を伝える時期
という順番で考えると整理しやすくなります。
特に理学療法士は、担当患者さんだけでなく、計画書やカンファレンス、新人教育、委員会など複数の役割を持っていることがあります。
退職直前になって慌てないためにも、自分が引き継ぐ必要のある業務を早めに洗い出しておきましょう。
11-2. まず直属の上司へ退職の意思を伝える
退職を決めたら、基本的には直属の上司へ時間を取ってもらい、退職したい意思を伝えます。
このとき、
- 「人手不足だから言い出しにくい」
- 「これまでお世話になったので申し訳ない」
- 「強く引き止められたらどうしよう」
と感じる方もいると思います。
ただ、曖昧な伝え方をすると「まだ迷っている」と受け取られることがあります。
退職を決めているのであれば、感謝を伝えつつ、退職の意思と希望時期を簡潔に伝えましょう。
退職理由についても、現在の職場への不満をすべて伝える必要はありません。
今後のキャリアや働き方、家庭との両立など、自分が退職を決めた理由を簡潔に整理しておけば十分です。

私も長く勤めた職場だったので、退職を伝えることには少なからず申し訳なさがありました。
それでも、今後の働き方を考えて自分で決めたことだったので、感謝を伝えたうえで退職の意思ははっきり伝えました。
11-3. 引き継ぎと有給休暇を早めに調整する
退職日が決まったら、担当患者さんや業務の引き継ぎを進めます。
理学療法士の場合は、
・担当患者さんの状態やリハビリ方針
・家族への説明内容
・退院支援の進捗
・計画書などの書類
・カンファレンスで共有している内容
・教育や委員会など自分が担当している業務
などを整理しておくと、後任者も引き継ぎやすくなります。
また、有給休暇が残っている場合は、最終出勤日と退職日が異なることもあります。
引き継ぎ期間との兼ね合いもあるため、残日数を確認したうえで早めに上司と相談しておきましょう。
一方で、
「後任が決まるまで辞められない」
「人手不足だから有給を取れない」
「自分が抜けたら職場が回らない」
と、自分だけで職場全体の問題を背負う必要はありません。
もちろん、担当している患者さんや業務をできる範囲で引き継ぐことは大切です。
ただ、人員配置や退職後の体制まで、一人の職員だけが責任を負うものではありません。

円満退職を目指すことは大切です。
ただ、「迷惑をかけたくない」という気持ちだけで退職時期を延ばし続けると、新しい職場にも影響します。
自分ができる引き継ぎを行ったうえで、次の環境へ進むことも大切だと思います。
通常の手続きで退職を進められる場合は、ここまでの流れで十分です。
一方で、強い引き止めや人間関係などによって、自分で退職を伝えること自体が難しい場合もあります。
そのような場合の選択肢については、次の章で解説します。
12. 退職を自分で伝えられない場合の選択肢
退職する意思は決まっていても、すべての人が自分で上司へ退職を伝えられるとは限りません。
強い引き止めや人間関係、ハラスメント、心身の負担などによって、退職を切り出すこと自体が大きな負担になることもあります。
例えば、
・上司と直接話すことに強い不安がある
・退職を伝えても強く引き止められている
・人手不足を理由に辞めにくい雰囲気がある
・ハラスメントなどがあり、職場と直接やり取りしたくない
・心身の負担が大きく、退職手続きを進める余裕がない
といった場合です。
このような状況でも、「必ず自分一人で退職を進めなければならない」と考える必要はありません。
まずは家族や信頼できる人、職場の人事・総務、外部の相談先などに状況を共有し、第三者の力を借りる方法もあります。
それでも自分で退職を伝えることが難しい場合には、退職代行サービスを利用することも選択肢の一つです。
退職代行は、本人に代わって勤務先へ退職の意思を伝えるサービスですが、サービスによって対応できる内容や料金などは異なります。
利用を考える場合は、
・自分の状況に対応しているか
・どこまで対応してもらえるのか
・料金や追加費用はいくらか
・申し込み前に相談できるか
などを確認してから判断しましょう。

退職代行は、転職する人全員が使うものではありません。
自分で通常の退職手続きを進められるのであれば、11章で紹介した流れで十分です。
ただ、退職することにエネルギーを使い切ってしまうほど苦しいのであれば、一人ですべてを抱える必要はないと思います。
退職はゴールではありません。
今の職場を離れたあとに生活を整え、新しい環境で働き始めることまで続いていきます。
円満退職だけにこだわって心身をすり減らすのではなく、自分の状況に合った方法を選びましょう。
退職代行について詳しく知りたい方は、以下の記事でサービスの特徴や利用前に確認したいポイントをまとめています。
13. 理学療法士の転職に関するよくある質問
Q-1. 理学療法士は1〜3年目で転職すると早すぎますか?
1〜3年目の転職が必ず早すぎるとは思いません。ただ、管理者として採用について意見を求められる立場から見ると、「なぜこの時期に辞めたのか」は気になるポイントです。
私個人の感覚では、1〜3年目はまだ指導を受けながら経験を積む時期です。4〜5年目頃になると新人教育を任されることも増え、「自分ができる」だけでなく「人に説明・指導できる」経験も転職時の強みになります。
ただし、年数そのものだけで評価が決まるわけではありません。職場によって教育環境は違うため、「前職で何を経験し、何ができるようになったのか」を自分の言葉で説明できる方が、採用側にも強みが伝わりやすくなります。
若手で転職するなら、単に「職場が合わなかった」で終わらせず、転職理由と前職で得た経験、次の職場でどう働きたいのかまで整理しておくことをおすすめします。
Q-2. 理学療法士は転職回数が多いと採用で不利になりますか?
転職回数が多いからといって、必ず不利になるとは思いません。
ただし、短期間での転職を繰り返している場合、「今回も長く働いてもらえないのではないか」という点は、採用を考えるうえで気にされる可能性があります。
一方で、理学療法士は急性期・回復期・生活期など、働く領域によって患者さんへの関わり方が大きく変わります。
例えば、
- 「急性期を経験した後、退院後の生活をもっと知りたくて回復期へ移った」
- 「さらに生活期を経験するため訪問リハビリへ進んだ」
というように、転職に一貫した目的があれば、複数の領域を経験していることを強みに変えることもできます。
同じ3回の転職でも、「職場が嫌になるたびに辞めた人」と「理学療法士として視野を広げるために環境を変えてきた人」では、採用側から見た印象は異なります。
転職回数そのものよりも、「なぜ転職したのか」「それぞれの職場で何を得たのか」を説明できることが重要だと思っています。
Q-3. 年収と休日・残業の少なさは、どちらを優先した方がいいですか?
私は、年収と休日のどちらか一方ではなく、

「増えるお金と失う時間が見合っているか」で考えるのが大切だと思っています。
例えば、年収が50万円上がっても年間休日が20日減るなら、その20日分の時間に50万円の価値があるのかを考えます。逆に、多少年収が下がっても休日が増え、残業が減ることで無理なく生活できるなら、時間を優先する選択も十分ありです。
特に家庭を持つと、若い頃のように自分の時間をすべて仕事へ使うことは難しくなります。
副業や勉強まで考えれば、休日を増やして「時間を買う」という考え方もできます。
最終的には、給与・休日・残業・通勤時間まで含めて、家庭が無理なく回り、自分自身も長く働き続けられる条件かどうかで判断することが大切だと思っています。
Q-4. 理学療法士を辞めて異業種へ転職するのはありですか?
私は、異業種への転職自体は否定しません。
ただし、理学療法士として何年経験していても、異業種では未経験者として見られることがあります。同年代でも、その業界で長く働いてきた人とは経験値に差があるため、「一から学び直す」という覚悟は必要です。
また、給与が上がったとしても、残業やノルマが多く、心身への負担が大きければ「理学療法士を続けていた方が良かった」と感じる可能性もあります。
特に20代で異業種を考えるなら、「今の職場が嫌なのか」「理学療法士という仕事自体を長く続けられないのか」を分けて考えることが大切です。
情熱ややる気だけではなく、自分の心身に問いかけて「この仕事を5年、10年と続けられるか」で判断するのがいいと思っています。
Q-5. 今すぐ転職するつもりがなくても、転職サイトに登録する意味はありますか?
私は、今すぐ転職する予定がなくても、転職サイトに登録して求人を見ておく意味はあると思っています。
理由は、自分の地域や経験年数で、どのくらいの給与・休日・勤務条件の求人があるのかを把握できるからです。
サービスによっては、求人情報やスカウトが届くこともあります。
その中で、
- 「年収は高いけれど休日が少ない」
- 「今の職場の方が条件は良さそう」
と比較できることにも価値があります。
求人は常に同じものが出ているわけではありません。良い条件が出たときにすぐ動けるよう、転職するかどうかとは別に、普段から情報を集めておくことが大切だと思っています。
また、転職サービスごとに扱う求人が異なるため、複数のサービスを見て情報網を広げておくのも一つの方法です。
Q-6. 転職理由は面接でどこまで正直に話していいですか?
私は、嘘をつく必要はないと思いますが、前職への不満をすべてそのまま話す必要もないと考えています。
特に「人間関係が悪かった」「給料が低かった」といった理由だけを前面に出すと、採用する側としては少し慎重になります。
人間関係のトラブルは一方の話だけでは判断しにくいため、「どのような経緯があり、自分はどう対応したのか」まで整理して伝えることが大切です。
給与や休日への不満も、あえて強調するより、「次の職場でどのような働き方をしたいのか」に言い換えた方が伝わりやすいと思います。
面接では、前職の悪い部分を説明することよりも、
「なぜ環境を変えたいのか」
「次の職場で何をしたいのか」
を前向きに伝えることが重要です。
正直さは大切ですが、面接では「事実を整理して伝える」くらいがちょうどいいと思っています。
Q-7. 40代以降の理学療法士の転職は厳しいですか?
私は、40代以降でも採用側が求める人材と経験が合えば、十分に転職できると思っています。
ただし、年齢が上がるほど「これまで何を経験してきたのか」は見られやすくなります。
臨床経験だけでなく、役職経験、後輩教育、マネジメント、多職種との調整など、これまでの経験をどう活かせるかを説明できると強みになります。
一方で、管理職を希望していても、転職先にはすでに役職者がいるため、すぐにポストを得られるとは限りません。
中途採用では、経験年数やこれまでの役割によって給与提示が変わることもあります。
そのため採用側としては、提示する待遇と任せたい役割が見合うかも考えます。
40代以降は、若手と同じ土俵で勝負するよりも、自分の経験を職場にどう還元できるかを示すことが重要だと考えています。
Q-8. 転職先が合わなかった場合、もう一度転職してもいいですか?
私は、転職先が合わなかったのであれば、もう一度転職すること自体は問題ないと思っています。
実際、入職してみないと分からないことはあります。求人票や面接では分からなかった業務量、残業の実態、有給休暇の取りやすさ、人間関係などにギャップを感じることもあります。
ただし、短期間で退職すると、その経歴について次の面接で説明を求められる可能性はあります。
私個人としては、心身に大きな問題がなく、重大な条件違いもないのであれば、可能なら1年程度は働いてみるのも一つの考え方だと思っています。
1年働くと、年間を通した業務や役割が見えてくることもあるからです。
一方で、心身への負担が大きい、聞いていた条件と明らかに違うなどの場合は、無理に1年続ける必要はありません。

大切なのは、「せっかく転職したから」と我慢し続けることではなく、今の環境で無理なく長く働けるかを冷静に判断することだと思います。
14. まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事では、
・理学療法士が転職を考える主な理由
・転職するべきか迷ったときの判断基準
・転職で失敗しないためのポイント
・年収アップの考え方
・30代からの転職で意識したいこと
・求人探しから入職までの進め方
・転職サイト・転職エージェントの選び方
・円満退職や退職が難しいときの考え方
について、私自身の経験も交えながら解説してきました。
私が実際に転職を経験して、一番強く感じたことがあります。
それは、
「転職そのものが人生を変えたのではなく、情報を知ったことが人生を変えた」
ということです。
私は約10年間同じ病院で働いていたため、転職活動を始めるまでは、そこでの給与や働き方が自分にとっての基準になっていました。
しかし、他の病院の求人を見て、給与や休日、仕事内容を比較したことで、初めて今の環境を客観的に見ることができました。
その結果、自分に合うと感じた職場へ転職し、年収は約100万円アップ。働き方や生活とのバランスも改善し、現在は管理者として新たな経験も積んでいます。
もちろん、これは「転職すれば誰でも年収が上がる」「環境を変えれば必ずうまくいく」という話ではありません。
他の職場を知った結果、
「今の職場は思っていたより自分に合っている」
と気づくこともあります。
それなら、今の職場に残るのも十分に前向きな選択です。
だからこそ、この記事を通して一番伝えたいのは、
「転職すること」ではなく、「納得できる選択をすること」
です。

転職するかまだ決めていなくても大丈夫です。
他の職場の給与や休日、働き方を知ってから「今の職場に残る」と決めるのと、何も知らないまま何となく働き続けるのとでは、同じ選択でも納得感は変わると思っています。
もし今、
- 「このまま働き続けていいのだろうか」
- 「もう少し年収を上げたい」
- 「家族との時間を増やしたい」
と感じているのであれば、まずは自分が何を変えたいのか整理し、他の職場ではどのような働き方ができるのかを知るところから始めてみてください。
気になる求人があれば詳しく見る。
希望と合わなければ見送る。
そのくらいの距離感で情報を集めても問題ありません。
理学療法士としてこれまで積み重ねてきた経験は、これからの働き方を考えるための土台になります。
今の職場に残るのか、新しい環境へ進むのか。
十分に比較したうえで、自分が納得できる道を選んでください。
転職についてテーマ別に詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。











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