「今より給与の高い職場に転職したい。でも、働きにくくなったら後悔しそう」
求人を見ながら、そんな不安を感じていませんか。
私自身、約10年間勤めた病院から転職し、年収は約400万円から約500万円に上がりました。ただ、転職活動中には、年収500万円でも年間休日105日という条件の求人を断っています。
重視したのは、収入だけでなく、家族との生活を無理なく続けられるかどうかでした。
この記事では、給与・業務量・将来の待遇という3つの視点から、転職後の後悔につながりやすい見落としを整理します。私が実際に確認したことと、入職前には聞ききれなかったことも紹介します。
理学療法士が転職で後悔しやすい3つの理由
① 年収だけで選び、休日や家庭への影響を見落とす
給与を上げたいと思って転職すること自体は、悪いことではありません。私も収入を増やしたい気持ちがありました。
ただ、年収が上がっても、出勤日数が増えて家族との時間が減るなら、自分にとってよい転職とは限りません。
私が断ったのは、年収500万円・年間休日105日という条件の求人でした。当時の職場より出勤日数が増える点が、気になったからです。
子どもと過ごせる時間が減り、妻が一人で育児を担う時間も増える。収入が増える一方で、家庭の負担が大きくなることは避けたいと考えていました。
独身だったら、同じ求人を選んでいたかもしれません。それでも、当時の私には、家庭をうまく回せる働き方が必要でした。
参考として、総務省統計局『日本の統計2026』に掲載された令和6年調査では、「医療・福祉」の年間休日総数は1企業平均113.6日です。病院だけの数値ではありませんが、病院や福祉施設を比較する参考になります。
ただし、平均より多いか少ないかだけで、働きやすさは決まりません。
年間休日に加えて、希望する日に休めるか、家族の予定に合わせられるかまで考えておくと、入職後の生活をイメージしやすくなります。
② 求人票の条件だけで、実際の業務量を判断する
休日数が多くても、出勤日の負担が大きければ、生活に余裕がなくなることがあります。
私の前職は休日数こそ多かったものの、1日20単位以上、週108単位の上限いっぱいまで取得を求められる働き方でした。
そこに記録や書類、教育などの業務も加わり、定時から約2時間の残業が常態化していました。サービス残業もあり、休日数だけでは分からない負担を感じていました。
なお、厚生労働省の資料では、疾患別リハビリテーションの従事者1人当たりの実施単位数は、1日18単位を標準とし、1日24単位・週108単位を上限としています。この18単位は、全国の実績を集計した「平均」ではなく、制度上の「標準」です。
単位数が多いという理由だけで、その職場を判断するつもりはありません。私が確認したいのは、単位以外の仕事も含めて、勤務時間内に収まる業務量なのかという点です。
転職先を比べるときは、次のような内容まで確認しておきたいところです。
- 1日の目標単位数と、実際に取得している単位数
- 記録や計画書を作成する時間
- 委員会・新人教育など、臨床以外の担当業務
- 実際の残業時間と、残業代の扱い
- 欠勤者が出た際のフォロー体制
「残業が少ない」と聞くだけでなく、どのように仕事を終えられる仕組みなのかまで分かると、判断材料が増えます。
③ 入職時の年収だけを見て、その後の待遇を考えない
入職時の給与に納得できても、その後の昇給や退職金が想像と違えば、長く働く中で不満につながるかもしれません。
私は賞与と想定年収について、転職エージェントから情報を集めました。退職金制度があることも確認しています。
一方、退職金の算出方法までは聞けませんでした。
これから入職したいと考えている立場で、退職金の計算式まで尋ねるのは、私には踏み込みにくかったからです。
それでも今振り返ると、何年働けばどのくらいの退職金が見込めるのか分かれば、将来の生活設計に役立ったと思います。
また、小規模だった前職と比べ、母体の大きい転職先には、昇給の可能性も期待していました。ただし、それは当時の私の見通しであり、病院の規模だけで昇給が決まるわけではありません。
私の場合は、回復期で長く働いてきた経験が、転職先の求めるものと合っていたことも背景にあります。タイミングにも恵まれたのかもしれません。
「大きい病院なら安心」と決めるのではなく、昇給の実績や評価の仕組み、経験をどう評価してもらえるかを、確認できる範囲で見ておきたいところです。
後悔を減らすために、私が転職前に行ったこと
給与と同時に、譲れない生活条件を考えた
私にとって転職は、年収を上げるだけでなく、家族との生活を続けやすくするための選択でもありました。
そのため、給与が魅力的でも、休日が減って家庭への負担が大きくなる求人は選びませんでした。
希望条件を考えるときは、「給与は高い方がよい」「休みは多い方がよい」で終わらせず、自分の生活に置き換えてみてください。
例えば、子どもの送迎があるなら帰宅時間、育児を分担したいなら休日の取り方、将来の支出が気になるなら年収や昇給の見通しです。
すべての条件を満たせなくても、何を守りたいのかが決まっていれば、求人を比較しやすくなります。
エージェントに確認してもらい、面接でも再確認した
私は、転職エージェントに仲介してもらい、事前に職場の情報を集めました。
特に確認したのは、残業時間と有給休暇の使い方です。
- 急な休みが必要になったとき、有給で対応できるか
- 自分が希望する日にも有給を使えるか
- 実際にどのくらい残業があるか
こうした内容は、エージェントから情報を得たうえで、面接でも再確認しました。
有給制度があることと、実際に休みやすいことは、私にとって別の確認事項でした。前職では周囲に気を遣い、自分の役割も気になって、自由に休みにくかったからです。
面接では、例えば次のように聞くと、知りたい内容を具体的に伝えられます。
「子どもの体調不良などで急な休みが必要な場合、どのように対応されていますか」
「記録や書類業務を含めて、普段はどのくらい残業がありますか」
直接聞きにくいことは、まずエージェントに相談する方法もあります。私にとっては、代わりに情報を確認してもらえる点が役立ちました。
私が転職エージェントを利用した経験は、理学療法士が転職エージェントで年収を下げずに転職できた話で詳しく紹介しています。
聞けなかったことを、都合よく解釈しない
入職前に、すべての情報を確認するのは難しいと思います。私にも、退職金の算出方法のように聞けなかったことがありました。
だからこそ、確認できたことと、期待しているだけのことは分けておきたいです。
例えば、「退職金制度がある」と分かったことと、「長く働けば十分な金額を受け取れるはず」と考えることは違います。
昇給や退職金が転職先を選ぶうえで大きな条件なら、エージェントを通じて、制度の概要や支給例など、確認可能な情報があるか相談してみてもよいと思います。
無理に細部まで聞くことより、分からない部分を分かったつもりにしないことが、期待とのずれを減らすことにつながります。
転職後は、年収だけでなく働き方も変わった
事前の説明との違いはなく、仕事の負担も減った
実際に入職してみて、残業や有給の取りやすさについて、事前に聞いた説明との違いはありませんでした。
正直なところ、仕事の負担は前職よりかなり軽くなったと感じています。1日の目安となる単位数も、前職より少なくなりました。
今の職場にも年間の単位目標はありますが、私には無理なく達成できる水準です。有給も取りやすくなりました。
もちろん、誰かが病欠や休職となれば、組織全体の目標を補うために、ほかのスタッフの取得単位が増えることはあります。負担がまったくない職場というわけではありません。
それでも、私にとっては、求められる仕事と休みを両立しやすい環境です。
残業はあっても、サービス残業はなくなった
転職後も、残業はあります。ただし、残業した分は支払われ、サービス残業はありません。
私が働きやすいと感じるのは、熱意や自己犠牲で仕事を埋め合わせるのではなく、どうすれば効率よく進められるかを自然に考えられるところです。
仕事終わりに余力が生まれ、家族との時間や自分の勉強時間も確保しやすくなりました。
以前は帰宅が遅く、妻に家事の負担が偏り、私自身にも余裕がありませんでした。働き方が変わったことで、家庭も以前より穏やかになったと感じています。
私にとっての転職のよさは、年収が約100万円上がったことだけではありません。仕事を続けながら、家庭で過ごす時間と気持ちの余裕を持てるようになったことも、大きな変化でした。
年収や働き方が変わった経緯は、年収400万円から500万円へ、ホワイト病院に転職した体験談にまとめています。
まとめ|条件のよさだけでなく、その職場での生活を考える
理学療法士の転職では、給与が上がるかだけでなく、次の3点も比べてみてください。
- 休日や勤務時間が、今の生活に合うか
- 単位数と周辺業務を含めて、無理なく働けるか
- 入職時の年収だけでなく、その後の待遇をどう考えるか
私自身、年収500万円でも休日の条件から断った求人がありました。一方、最終的に選んだ職場では、収入と働き方の両方が改善しています。
同じ条件でも、独身のときと子育て中では、選び方が変わります。
まずは今の職場について、年収・休日・残業・業務量を書き出し、「次の職場では何を変えたいのか」を整理してみてください。
気になる求人があれば、分からない点をそのままにせず、エージェントや面接で確認する。その積み重ねが、自分に合う職場を選ぶための判断材料になります。
これから転職活動を始める方は、こちらも参考にしてください。転職活動全体の流れを確認できます。



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